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「ボルドーの宝石」とも称されるシャトーマルゴー。
特別な日にと手に入れたものの、いざ開けるとなると「シャトーマルゴーに合う料理は?」と悩んでしまうことはありませんか。
ワインの年代による飲み頃や、適切なデキャンタージュの時間はもちろん、肉料理ならステーキが良いのか仔羊が良いのか。
また、
「和食との相性は本当にダメなのか?」
「魚と合わせると生臭さが出ると聞くけどなぜ?」
といった疑問も浮かびます。
さらに、デザートにチョコレートやチーズを考えているけれど、禁忌な食べ物だったらどうしようと不安になるかもしれません。
さらに、シャトーマルゴーにはセカンドワインの「パヴィヨンルージュ」や、希少な白ワイン「パヴィヨンブラン」、サードワインの「マルゴーデュ」もあり、それぞれに合う料理も気になるところです。
この記事では、シャトーマルゴーのエレガンスを最大限に引き立てるための、料理選びの基本的な考え方から、年代別のおすすめペアリング、そして避けるべき組み合わせまで、わかりやすく整理してご紹介します。
この記事のポイント
- シャトーマルゴーの基本と避けるべき食べ物
- 年代(若年・飲み頃・熟成)別の最適な料理
- チーズやチョコレートとの相性の真実
- セカンドや白ワインのペアリング
シャトーマルゴーに合う料理を選ぶ基本原則

シャトーマルゴーのペアリングは、その「エレガンス」を尊重することが何よりも大切です。力強さの中にある繊細なアロマをどう引き立てるか。
まずは、そのための準備と、絶対に避けたい組み合わせの基本を見ていきましょう。
マルゴーの飲み頃とデキャンタージュ
シャトーマルゴーのポテンシャルを引き出すには、まず「状態」の見極めが重要です。
特にデキャンタージュ(ワインをデキャンタに移すこと)は、多くの人が悩むポイントではないでしょうか。
「何時間デキャンタすれば良いですか?」
という質問をよくいただきますが、実は「時間で決める」のは危険な誤解かもしれません。
デキャンタージュは、ワインの状態を診断して行う「処方」のようなものです。
診断的デキャンタージュのステップ
- 診断(味見): 飲む数時間前に開栓し、少量だけ味を見ます。
- 処方1(完璧な状態): この時点で香りも開いて美味しい場合(特に熟成した古酒)は、デキャンタージュは不要です。空気に触れすぎると、繊細な香りが飛んでしまいます。そのまま静かに待ちましょう。
- 処方2(若い・閉じている): 渋すぎたり、香りが閉じていたりする場合(若いヴィンテージに多い)は、デキャンタに移します。
- 再診断と処方3: 1時間後などに再度味見をし、香りが開いたら、それ以上酸化しないよう元のボトルに戻す「ダブル・デキャンタージュ」を行うこともあります。
また、熟成したヴィンテージの場合は、空気接触よりもボトル底の「澱(おり)」を取り除くことが主な目的になります。
このように、ワインの「飲み頃」に合わせてサーブの方法を変えることが、完璧なペアリングの第一歩です。
禁忌は?NGな食べ物と生臭さの理由

シャトーマルゴーのペアリングを考える上で、まず知っておきたいのが「禁忌」とも言える組み合わせです。
好み以前に、化学反応としてお互いの良さを打ち消してしまう食べ物が存在します。
その代表格が、生の魚介類や青魚です。
「赤ワインと魚は合わない」と昔から言われますが、これには科学的な理由があります。赤ワインに含まれる「鉄分」と、魚の脂(不飽和脂肪酸)が出会うと、非常に不快な「生臭み」や「金属味」が発生してしまうのです。
最悪のペアリング「生臭み」
シャトーマルゴーのようなカベルネ・ソーヴィニヨン主体で、タンニンも鉄分も豊富なフルボディの赤ワインは、この化学反応のリスクが非常に高いと言えます。
何万円もするワインの優美なアロマが「生臭み」に変わってしまうのは、あまりにも悲しい事態です。
刺身、生牡蠣、寿司(一部の例外を除く)、サバのグリルなどは、シャトーマルゴーの「グラン・ヴァン」と合わせるのは、基本的には避けるべきでしょう。
シャトーマルゴーと魚はなぜ合わない?
前の項目で「生臭み」について触れましたが、もう少し詳しく見てみましょう。
シャトーマルゴーが魚介類(特に生の魚や青魚)と合わない理由は、主にワインに含まれる「鉄分」にあります。
この鉄分が、魚介類の脂(不飽和脂肪酸)と化学反応を起こすことで、口の中で不快な生臭みや金属味として感じられてしまいます。
これは、ワインの風味も魚の風味も台無しにしてしまう、最も避けたい化学反応です。
もちろん、「赤ワインと魚」のペアリングがすべてダメというわけではありません。
脂の少ない白身魚を、タンニンが穏やかな赤ワイン(ガメイ種など)と合わせることはあります。
しかし、シャトーマルゴーはカベルネ・ソーヴィニヨン主体で、タンニンも鉄分も豊富なワインです。そのため、魚介類との組み合わせは「なぜ合わない?」と疑問に思うまでもなく、化学的にリスクが非常に高いのです。
ただし、記事の後半で紹介するように、「熟成」や「調理法」、「セカンドワイン」といった条件次第で、驚くような例外が生まれることもあります。
チョコレートとのペアリングが難しい理由

食後にシャトーマルゴーとチョコレートを楽しみたい、と考える方もいらっしゃるかもしれません。確かに2018年のマルゴーの香りには「ダークチョコレート」といった表現も使われることがあり、相性が良さそうに思えます。
しかし、原則として、辛口の赤ワインとチョコレートのペアリングは非常に難易度が高いものです。
ペアリング失敗の法則
デザートとワインを合わせる際の鉄則は、「ワインがデザートより甘いこと」です。シャトーマルゴーは「辛口(Dry)」のワインです。
- 失敗1(甘いチョコ): 甘いミルクチョコレートなどに辛口のマルゴーを合わせると、ワインの酸味と苦味(タンニン)だけが際立ち、「酸っぱく・苦く」感じられます。
- 失敗2(ビターチョコ): 渋みの強い(高タンニン)マルゴーと、ビターな高カカオチョコレートを合わせると、渋味と苦味が「累積して倍増する」最悪の結果を招きかねません。
マルゴーの「町」の特産品として「マドモワゼル・ド・マルゴー」というチョコレートがありますが、これはワインとのペアリング用に開発されたものではないようです。
もし合わせる場合は、カカオ分が中程度で、ナッツや塩気を含むものを選ぶなど、かなりの工夫が必要になるでしょう。
シャトーマルゴーとチーズの相性

チョコレートとは対照的に、チーズはシャトーマルゴーと比較的良好な相性を示します。
特にカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインには、「ハードチーズ」がおすすめです。
おすすめのチーズ
- コンテ(熟成したもの)
- パルミジャーノ・レッジャーノ
- 熟成チェダー
これらのチーズが持つ「脂肪分」と「塩味」が、シャトーマルゴーのタンニン(渋み)を優しく和らげ、ワインの持つ果実味を引き立ててくれます。
少し特別な選択肢としては、「白黒トリュフ入りブリー」なども挙げられます。
トリュフの香りは、特に熟成したマルゴーのブーケ(スー・ボワ=森の下草の香り)と素晴らしいハーモニーを生み出しますし、ブリーチーズの脂肪分がタンニンを包み込んでくれます。
ただし、ブルーチーズのような個性が強すぎるものや、フレッシュタイプの酸味が強いチーズは、マルゴーの繊細な香りを邪魔してしまう可能性があるので、注意が必要です。
セカンドワイン(パヴィヨンルージュ)
シャトーマルゴーには「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー」という、素晴らしいセカンドワインがあります。
これは、グラン・ヴァン(ファーストラベル)の厳しい選定基準から外れたキュヴェ(樽)から造られますが、その品質は他の多くのシャトーを凌駕するほどです。
特徴としては、グラン・ヴァンよりもメルローの比率が高くなる傾向があり、タンニンが穏やかで、より若いうちから楽しめる点が挙げられます。
この「柔軟性」こそが、パヴィヨン・ルージュの魅力です。グラン・ヴァンでは難しいとされたペアリングにも、挑戦できる余地が生まれます。
例えば、あるソムリエは「棒サバ寿司」とのペアリングを紹介しています。これは、酢で〆たサバ、酢飯、昆布といった要素が、セカンドワインの穏やかなタンニンと奇跡的に調和した例です。
混同に注意!
この「サバ寿司」の例を、シャトーマルゴーの「グラン・ヴァン」で試すのは絶対に避けてください。タンニンが強く鉄分も豊富なグラン・ヴァンでは、高い確率で「生臭み」が発生し、ワインも料理も台無しになってしまいます。
セカンドワインは、グラン・ヴァンよりもチーズや、ビターすぎないチョコレートとも比較的合わせやすい柔軟性を持っています。
年代別シャトーマルゴーと合う料理の具体例

シャトーマルゴーのポテンシャルを最大限に引き出す料理は、そのワインの「熟成度」によって大きく変わります。
ここでは、ワインの年代を「若年」「飲み頃」「熟成」の3つに分け、それぞれに最適な「シャトーマルゴーと合う料理」の具体例をご紹介します。
若いマルゴーに合う肉(ステーキ等)
リリースから5年~10年程度の「若年」のシャトーマルゴー(例えば2018年ヴィンテージなど)は、まだタンニンが力強く、果実味も凝縮しています。
「堅固な構造」と「クレーム・ド・カシス」のようなパワフルさが特徴です。
こうした力強いワインには、そのパワーを正面から受け止められる料理が必要です。
若いマルゴーに合う肉料理
牛フィレ肉のステーキ・フォアグラ添え(ロッシーニ風)

このペアリングの理由は「力と力の調和」です。ワインの強靭なタンニンを、フォアグラの濃厚な「脂肪」が中和し、口当たりを滑らかにしてくれます。赤身肉の旨味も、ワインの黒系果実の力強さと見事に調和します。
牛ランプ肉のステーキなども良いでしょう。ポイントは、ソースを使いすぎず、塩・胡椒でシンプルに仕上げ、ワインの複雑な香りを邪魔しないことです。
飲み頃マルゴーと仔羊のペアリング

10年~20年ほどの熟成を経て「飲み頃」を迎えたシャトーマルゴーは、タンニンが「パウダリー」と表現されるように滑らかになり、果実味の核を保ちつつ、「スミレ」や「バラの花びら」、「鉛筆の削りくず」といった、マルゴー特有の複雑でエレガントなアロマが花開く時期です。
この状態のマルゴーには、伝統的に「最上のパートナー」とされる料理があります。
飲み頃マルゴーに合う料理
仔羊のロースト(ハーブ風味)
ボルドー左岸のワイン、特にシャトーマルゴーと仔羊は、まさに「王道」のマリアージュです。
理由は「アロマの橋渡し」にあります。仔羊が持つ特有のミルキーな香りや、ローズマリーやタイムといったハーブの香りが、カベルネ・ソーヴィニヨンが持つハーブのニュアンスや「シダー(杉)」「鉛筆の削りくず」といったアロマと完璧に同調します。
また、仔羊のキメの細かい脂肪と柔らかい肉質が、マルゴーの「きめの細かいタンニン」と、ざらつくことなく滑らかに融合します。
熟成マルゴーとトリュフや煮込み

20年以上の時を経て「熟成」の域に達したシャトーマルゴーは、果実味が落ち着き、代わりに「第三アロマ」と呼ばれる香りが支配的になります。
「スー・ボワ(森の下草)」や「土」、「キノコ」といった、複雑で奥行きのある熟成香が、そのワインの価値となります。タンニンは完全に溶け込み、シルクのように滑らかな舌触りになっています。
熟成マルゴーに合う料理
1. トリュフを使った料理(トリュフソース、トリュフパスタなど)
これは「アロマの増幅」を狙ったペアリングです。トリュフの芳醇な香りが、熟成マルゴーが持つ「スー・ボワ」や土のニュアンスと、香りの成分レベルで一致します。お互いの香りを高め合う、至高のマリアージュです。
2. 牛ほほ肉の赤ワイン煮、牛タン赤ワイン煮込み
これは「テクスチャ(食感)」のペアリングです。長時間煮込まれて柔らかくほどけた肉の繊維と、ワインの滑らかなタンニンが、口の中でストレスなく同調します。
熟成マルゴーと和食の意外な相性

これまで「魚介は禁忌」と述べてきましたが、和食とのペアリングは本当に不可能なのでしょうか。
実は、京都の老舗料亭でシャトーマルゴーと懐石料理のディナーが開催された実績があるなど、可能性はゼロではありません。
ただし、それは出汁や醤油の繊細な要素を熟知した、最高レベルの専門家による計算の上で成立するものです。
【上級者編】かにみそとのペアリング
あるソムリエは、「シャトー・マルゴー 1994」と「かにみそ 朝鮮人参唐揚」という驚きのペアリングを紹介しています。
これが「魚介の禁忌」の例外である理由は以下の通りです。
- 「熟成」ヴィンテージであること: 20年以上熟成したマルゴーはタンニンが柔らかく、鉄分のニュアンスが後退し、「熟成香(旨味)」が前面に出ています。
- 「魚の身」ではないこと: かにみそは内臓であり、旨味と脂の塊です。
- 「旨味」の同調: かにみその濃厚な旨味と、熟成マルゴーの持つ「熟成香(旨味)」が、アミノ酸のレベルで同調するのです。
これは、若いマルゴーでは絶対に成立しない、極めて高度なマリアージュと言えます。
和食とのペアリングは、非常にリスクが高い一方で、条件が揃えば(特に熟成ヴィンテージと旨味)、想像を超える体験をもたらす可能性を秘めています。
白ワイン(パヴィヨンブラン)の料理

シャトーマルゴーは赤ワインのイメージが強いですが、実は「パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー」という、ボルドー最高峰とも言われる辛口白ワインも生産しています。
これはソーヴィニヨン・ブラン100%で造られますが、私たちがよく知る「軽やかでハーブの香りがする」ソーヴィニヨン・ブランとは全くの別物です。
新樽で熟成されるため、非常に力強く、リッチで、高い酸とミネラル感を持つ「怪物的な白ワイン」と評されることもあります。
パヴィヨン・ブランに合う料理
その力強さとリッチさを受け止めるには、料理にも相応のパワーと「脂肪分」が必要です。
- オマール海老のグリル(バターソース)
- ホタテのバターソテー
- 仔牛のクリーム煮
一般的な白身魚のグリルでは、ワインの力に負けてしまうかもしれません。甲殻類や、クリームやバターを使った濃厚なソースと合わせることで、この偉大な白ワインの真価が発揮されます。
サードワイン(マルゴーデュ)

シャトーマルゴーのファミリーには、「マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー」というサードワインも存在します。(ヴィンテージによってはサードラベルが存在しない、または呼称が異なる場合があります)
これは、シャトーマルゴーのエレガンスの「片鱗」を、最もカジュアルに楽しめるワインです。
グラン・ヴァンやセカンドワインほどの凝縮感や複雑さはありませんが、その分、食事と合わせる際の柔軟性は非常に高くなります。
サードワインに合う料理
日常の食事を少し贅沢に格上げするのに最適なパートナーです。
- シンプルなローストチキン
- キノコのソテー(バターとハーブで)
- ハードタイプのチーズ(前述のコンテなど)
- 牛赤身肉のカルパッチョ
素材の味を活かしたシンプルな料理と素晴らしい相性を見せてくれます。グラン・ヴァンでは気後れしてしまうような場面でも、気軽にマルゴーのエッセンスを楽しめるのが魅力です。
まずはサードワインでペアリングの感覚を掴んでから、セカンド、グラン・ヴァンへとステップアップしていくのも、一つの楽しみ方かもしれません。
まとめ:シャトーマルゴーと合う料理
シャトーマルゴーという偉大なワインを前にすると、完璧な料理を用意しなければと気負ってしまうかもしれません。
しかし、最も大切なのは、ワインが持つ「力強さ」と「繊細なアロマ」の両方に敬意を払うことです。
「シャトーマルゴーと合う料理」の探求は、料理がワインのタンニンを優しく和らげつつ、その「スミレ」や「鉛筆の削りくず」のような繊細な香りを、決して覆い隠さないという基本原則に立ち返ることでもあります。
シャトーマルゴー ペアリングの心得
- 準備: デキャンタージュは「時間」ではなく「診断」で行う。
- 禁忌: 生の魚介類は、化学反応(生臭み)のリスクが高いため避ける。
- 選択: ワインの「年代(熟成度)」に合わせて、料理を選ぶ。
- 若年: 脂肪のある肉(フォアグラ添えステーキなど)でタンニンを中和する。
- 飲み頃: 香りを同調させる(仔羊とハーブなど)。
- 熟成: 香り(トリュフ)や食感(煮込み)を合わせる。
この記事でご紹介したペアリング・マトリックスや、セカンド、白ワインの情報を参考に、あなただけの「シャトーマルゴーと合う料理」を見つけていただければ幸いです。
なお、ワインの状態や料理の具体的な味付けによって、相性は常に変化します。最終的なご判断や、高価なヴィンテージを開ける際のデキャンタージュについては、信頼できるソムリエやワインショップの専門家にご相談されることをお勧めします。


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