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「シャトー・マルゴー 2013年」に、どのような印象をお持ちでしょうか。
ボルドーワインの頂点に君臨するシャトー・マルゴーですが、2013年というヴィンテージ(ブドウの収穫年)は、ワイン愛好家にとって評価が難しい、非常に特殊な年として知られています。
「当たり年ではない」と聞きつつも、専門家のパーカー点数やジェームスサックリングの評価がどうだったのか、具体的に知りたい方も多いでしょう。また、オフ・ヴィンテージとされながら、なぜ一部で高く評価されているのか、その理由も気になるところです。
価格は妥当なのか、同じ第一級のラフィット 2013との評価比較はどうなのか、そしてセカンドワインのパヴィヨンルージュ 2013の評価はどうだったのか…。疑問は尽きませんよね。
この記事では、シャトーマルゴー2013年物の評価について、その背景にある物語から具体的な専門家の点数、そして気になる飲み頃まで、詳しく解説していきます。このワインが持つ「本当の価値」を探っていきましょう。
- シャトーマルゴー2013年が「奇跡」と呼ばれる理由
- パーカーなど主要な専門家の具体的な評価と点数
- 現在の「飲み頃」と市場での「価格相場」
- このワインが持つ本当の「価値」とおすすめしたい人
シャトーマルゴー2013年物の評価と基本情報
まず、シャトー・マルゴー 2013年物の評価を正しく理解するために、この年がどのようなヴィンテージであったか、そして、なぜこのワインが「異例」と呼ばれるのか、その基本的な情報から見ていきましょう。
2013年は当たり年?ヴィンテージ解説
結論から申し上げますと、2013年はボルドー全域にとって「当たり年」とは到底呼べない、近年稀に見る「オフ・ヴィンテージ」(困難な年)でした。
その原因は、ブドウの生育サイクル全体を襲った天候不順です。
2013年のボルドーを襲った天候不順
- 冷涼な春:生育のスタートが遅れました。
- 開花期の降雨:特にメルロ種において、壊滅的な結実不良(ミルランダージュ)を引き起こしました。
- 9月の湿気:収穫期に灰色カビ病が蔓延する理想的な条件を作ってしまいました。
多くの生産者が、未熟なブドウやカビの影響と戦うことを余儀なくされ、全体として「ボディが軽く、早飲みスタイル」のワインが多くなった年です。しかし、そうした逆境の中だからこそ、シャトー・マルゴーのようなトップシャトーの真価が問われることになりました。
メルロゼロ?異例のブレンド比率
シャトー・マルゴー 2013年の評価を語る上で、絶対に欠かせないのが、その歴史的にも「異常事態」と言える特異なブレンド比率です。
前述の通り、2013年はメルロ種が壊滅的な被害を受けました。その結果、シャトー・マルゴーはメルロの使用をほぼ断念。最終的なブレンドにおけるカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が、実に94%から97%という、シャトーの歴史においても異常な高水準に達したのです。(資料により94%と97%の数字が混在しますが、いずれにせよメルロがほぼゼロである事実に変わりありません)
通常、シャトー・マルゴーのスタイルには、メルロがもたらす柔らかさやふくよかさも重要な要素です。しかし、2013年はそのメルロを欠いたことで、マルゴーの類稀なテロワールで育った、ピュアなカベルネ・ソーヴィニヨンの表現が際立つ、極めて稀有なワインが誕生しました。
シャトーマルゴー2013のパーカー点数
ワインの評価で最も注目される「パーカーポイント」(ワイン・アドヴォケイト誌の評価)。シャトー・マルゴー 2013年のパーカー点数は、その評価の変遷自体が物語となっています。
ロバート・パーカー氏本人による初期の樽評価(2014年)は「88-90点」と、マルゴーとしては控えめなものでした。彼も「偉大な年のパワーはない」とコメントしています。
しかし、その後、ワインが瓶詰めされ、同誌を引き継いだニール・マーティン氏が再評価(2016年)した際の確定スコアは「91点」でした。
88-90点から91点へ。この上昇は、ワインが樽熟成と瓶熟成を経て、評論家の当初の予想以上に「調和と落ち着き」を獲得したことを示しています。困難な年にして「91点」というスコアは、シャトーの並外れた技術力と厳格な選別がもたらした「勝利」と言えるでしょう。
ジェームスサックリングなど他の評価
パーカーポイント(WA)の91点も立派ですが、他の主要な評論家は、シャトー・マルゴー 2013年をさらに高く評価しています。
主要評論家の評価スコア
- ワイン・エンスージアスト (WE): 95点
- ジェームス・サックリング (JS): 94点
- デキャンタ (DC): 94点
このように、多くのトップ評論家が「91〜95点」という、このヴィンテージのワインとしては驚異的な高評価を与えているのです。
特にジェームス・サックリング氏は「堅固でタイト。ストラクチャーとエレガンス」と、カベルネ主体の個性を高く評価。ワイン・エンスージアスト誌も「スムースで熟している。素晴らしいバランス」と絶賛しています。この評価の高さこそ、2013年が「困難な年の奇跡」と呼ばれる所以です。
専門家が語る香りと味わい
では、その高い評価を支える香りと味わいは、どのようなものでしょうか。
このワインの個性を最もよく表すキーワードは「ミディアムボディ」です。メルロを欠くため、アルコール度数も低め(12.5%程度)で、偉大な年のような凝縮感はありません。
しかし、このワインの真髄は、その「質感」と「バランス」にあります。
香り(ブーケ)
カベルネ・ソーヴィニヨン由来の「杉」や「土っぽさ」、「ベイリーフ(月桂樹の葉)」といった涼しげでクラシックなアロマが感じられます。同時に、デキャンタ誌が「マルゴーの香水」と絶賛したように、シャトー・マルゴー特有のフローラル(花々)なニュアンスが、この困難な年でもしっかりと表れています。
味わい(パレット)
味わいの核心は、タンニン(渋み)と酸の質です。オフ・ヴィンテージにありがちな、青臭く収斂性のあるタンニンとは無縁。評論家が満場一致で称賛するのが、その「きめ細かく(fine)」「シルキー(silky)」なタンニンの質感です。
そして、ワイン全体の背骨となっている「美しい酸」が、フレッシュさとストラクチャーを与えています。
シャトー・マルゴー 2013年は、力強さ(Power)のワインではなく、精密さ(Precision)のワインなのです。
シャトーマルゴー2013年物、評価から見る「価値」
専門家からの評価が非常に高いことはお分かりいただけたかと思います。では、その評価は、私たちワイン愛好家にとって具体的にどのような「価値」を持つのでしょうか。気になる「飲み頃」や「価格」といった、現実的な視点からその価値を探っていきましょう。
シャトーマルゴー2013の飲み頃は今?
オフ・ヴィンテージのワインは「早飲みスタイル」が一般的ですが、シャトー・マルゴー 2013年はその一般論を超えています。
パーカーポイント(WA)のニール・マーティン氏は、このワインの飲み頃を「2018年~2032年」と予想しています。
結論として、シャトー・マルゴー 2013年は、まさに今、飲み頃のピークの入り口に達しており、その真価を楽しむ絶好のタイミングを迎えています。
タンニンが元々シルキーで滑らかなため、リリース直後から驚くほど近づきやすい状態でしたが、その素晴らしい酸とストラクチャーが、このワインがすぐに衰えることなく、2030年頃までエレガントなバランスを保ち続けることを示唆しています。
偉大なヴィンテージのように30年、40年と待つ必要がなく、マルゴーのエレガンスを「今すぐ」体験できる。これが2013年が持つ大きな「体験的な価値」です。
シャトーマルゴー2013の価格相場
シャトー・マルゴー 2013年が持つもう一つの重要な価値、それは「価格」です。
2010年や2015年といった偉大なヴィンテージのマルゴーが、しばしば15万円、20万円、あるいはそれ以上で取引されるのと比較すると、2013年物は明らかに安価です。
執筆時点で調査した限り、日本国内の市場価格は(状態や販売店にもよりますが)おおむね9万円台後半から11万円前後で取引されているようです。
もちろん、これは絶対的な金額として安くはありませんが、「ボルドーの頂点であるシャトー・マルゴーを体験する」ためのエントリーポイントとしては、最も現実的で魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。これは金融的な「投資」対象としてではなく、「飲んで楽しむ」ためのワインとして、非常に高い価値を持っています。
ワインの価格は、輸入コスト、在庫状況、保存状態、消費税の有無などによって大きく変動します。あくまで一般的な目安としてお考えいただき、正確な価格は信頼できる販売店にてご確認ください。
ラフィット2013との評価比較
同じメドック格付け第一級シャトーと比べることで、2013年におけるマルゴーの立ち位置(=相対的な価値)がより明確になります。
2013年は、第一級シャトーがみなカベルネ・ソーヴィニヨンの比率を極限まで高め(ラフィットは98%、ラトゥールは95.2%)、その技術力で困難を乗り切った年でもありました。
| シャトー名 | WA (パーカー/マーティン) | James Suckling (JS) | カベルネ比率 (約) |
|---|---|---|---|
| シャトー・マルゴー | 91点 | 94点 | 94-97% |
| シャトー・ラフィット | 90点 | 95点 | 98% |
| シャトー・ラトゥール | 93点 | 95点 | 95.2% |
| シャトー・ムートン | 91-93点 | 95点 | 89% |
このように、ライバルたちも軒並み高評価を獲得しています。WAの評価ではラトゥール(93点)に一歩譲るものの、JSやWE(95点)の評価では、マルゴーは他の第一級シャトーに匹敵する、あるいはそれを超える「エレガンス」の頂点を示したと評価されています。
パヴィヨンルージュ2013の評価
シャトー・マルゴーのセカンドワイン、「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー 2013」も、非常に興味深いワインです。
グラン・ヴァンと同様、カベルネ・ソーヴィニヨンが主体(84%)ですが、メルロも10%使用されています。パーカーポイント(WA)は「87点」と、ファーストに比べれば控えめですが、味わいは「軽やかでシンプルだが魅力的」と評されています。
しかし、このワインの最大の価値は「希少性」です。2013年は選別が極めて厳しく行われた結果、パヴィヨン・ルージュ 2013の生産量はわずか約50,000本と、歴史的な少なさになりました。飲み頃はグラン・ヴァンより早く、既にピークを迎えているとされますが、その希少性からコレクターズアイテムとしての側面も持っています。
2013年をおすすめしたい人
ここまで見てきた情報を総合すると、シャトー・マルゴー 2013年は、特定の方にとって「この上ない価値」を持つワインだと言えます。
シャトーマルゴー2013は、こんな方におすすめです
- ボルドーワインに力強さや凝縮感よりも、エレガンスやフィネス(繊細さ)を第一に求める方
- マルゴーのテロワールで育った、ピュアなカベルネ・ソーヴィニヨンの表現(94%以上)という、稀有なスタイルを体験してみたい方
- 「困難なヴィンテージに、シャトーの英知がどう立ち向かったか」という「物語」に価値を感じ、その達成の証を楽しみたい方
- 偉大なヴィンテージよりも(比較的)手頃な価格で、「シャトー・マルゴー」という頂点の体験をしたい方
逆に、2009年や2010年のような、凝縮した果実味、圧倒的なパワー、50年以上の長期熟成を期待する方には、この2013年は少し物足りなく感じるかもしれません。これは優劣ではなく、スタイルの違いですね。
総括:シャトーマルゴー2013年の評価の結論
シャトー・マルゴー 2013年は、その困難な出自にもかかわらず、シャトーの技術の粋を集めて造り上げられた、まさに「称賛に値する」ワインです。
これは、一般的にイメージされる「偉大な」ワインではないかもしれませんが、間違いなく「並外れてエレガント」で「精密」なワインです。シャトーの技術とテロワールの真価が、逆境の中で見事に発揮された「奇跡」の一本と言えるでしょう。
そして何より、その「奇跡」は、今まさに飲み頃のピークを迎え、私たちを待ってくれています。
ボルドーの歴史に残る、この特異なヴィンテージが生んだ唯一無二のエレガンスを、ぜひご自身の五感で確かめてみてはいかがでしょうか。
この記事で紹介した評価や価格相場、飲み頃は、あくまで執筆時点での一般的な情報や目安です。ワインの購入や試飲に関する最終的なご判断は、信頼できる販売店の最新情報をご確認の上、ご自身の責任にてお願いいたします。


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